Galleria-16-Wellness Travel Asia FUKUI
Wellness Travel University


福井県を旅してみました。


 今回は日本・アジアの厳選されたウエルネストラベルを紹介していくWellness Travel Asia特別版です。
 曹洞宗・大本山永平寺、曹洞宗を永平寺に開山した道元禅師が最初に福井に入った際に寄宿した吉峰寺、蟹の夜市場として有名な三国湊、芦原温泉での香道体験、永平寺町の世界ブランド黒龍酒造、そして白龍を生み出した吉田酒造を訪ねました。

第一章『禅』永平寺ですごす至福の一日

宿坊(柏樹関)に宿泊し、夜明け前に永平寺に到着。ご説法をお伺いし、法堂にて行われる朝課にて参拝。荘厳な朝の読経。やがて朝日が昇り、永平寺にも冬の朝が訪れます。開山1244年、もうすぐ800年の歳月を刻む、世界の禅を尊ぶ人たちにとっての大本山となっています。特にアップルの創業者のスティーブ・ジョブスが禅の教えによって救われ、こよなく禅に心酔していたことはシリコンバレーでは有名な話となっています。今回の訪問では作務をさせていただき、寺院の中を拝見し、修行僧がどのようにここで修行の時間を過ごすのかに思いを馳せます。毎日多くの情報に飲み込まれ、ストレスや怒り、デジタルの波にのまれた現在のリーダーたちにとって、ここですごす数時間がどれほど希少なものなのか。静謐という言葉がふさわしい冬の永平寺。宿坊で出される精進料理に心からの感謝を表し食す。土地のものをその季節に食す。命をいただくので、お皿は目線に合わせて感謝をしながらいただく。禅の教えの基でいただく精進料理はこの上なくおいしいお料理でした。
翌日、開祖の道元禅師がはじめて福井に来てからお入りになられた吉峰寺に参拝させていただきました。京都からこの地に秦氏のお招きでいらした道元禅師たちは山の中にあるこの吉峰寺に最初にお入りになりました。今回はこちらのお寺に入る前に畑で地元の方と一緒に大根を収穫し、お寺で漬物を一緒に作らせていただきました。また座禅の時に利用する禅クッションを、地元の工場から出た端切れを有効活用して中に詰めさせていただき、一緒に作りました。吉峰寺をまもっていらっしゃる老師は以前永平寺で福典座(スーシェフ)を勤めていらっしゃっただけあって、ご用意いただいた精進料理は見た目もおいしさもすばらしいものでした。

第二章『三国湊』小六庵と望洋楼

永平寺から海沿いの街にやってきました。夜、蟹の競りが行われる三国市場の近くに、「今迄食べた食事の中で、一生のうちにもう一度食べたい食事は何か?」と聞かれ「望洋楼の蟹を食べたい」という人が、セレブリティの中に多いのもうなずける、圧巻の食事を出してくれる望洋楼。蟹が解禁される11月からの蟹の季節には、最も予約がとれない最高級の旅館といわれています。7部屋すべてが異なる作りで、眼下に日本海を見て、朝のヨガ、そして温泉にゆっくり入ってから食する夕食と朝食は忘れがたい経験です。
今回は、望洋楼が特別に差し入れをしてくれたせいこ蟹とシャンパンを、お蕎麦の老舗 小六庵でいただくことができました。江戸幕府時代の黒船来航前は、日本の輸送と貿易は日本海の航路を使って行っており、特に北前船が頻繁に訪れていた福井県には当時の富の厚さを垣間見る街並みがある三国湊があります。三国にある小六庵は10割そばというウエルネストラベラーにとってはありがたいそばを出してくれるお店です。庭から日本海を見下ろし、囲炉裏を囲んで食するおそば、そして今回特別に望洋楼から差し入れていただいたせいこ蟹のアペタイザーとシャンパンで一気に気分が高揚します。究極のおもてなしとはこういうことなのでしょう。

第三章『香道』

香道と禅は切っても切れないつながりがあります。今回、芦原温泉 べにやで、香道の志野流 若宗主 次期家元の蜂谷宗苾氏によって、香道を体験させていただきました。その所作はひとつひとつ芸術であり、招かれた外国の貴賓も感銘を受けていました。香りを嗅ぐのではなく、聞く。貴重な香木が偶然東南アジアから淡路島に流れ着き、始まったといわれる香道。大事にするという精神が禅とも深く結びついています。室町時代、足利義政公の側近が香道を体系立てたといわれていますが、その志野宗信公が初代志野流の家元となっています。銀閣寺を造った東山文化。茶道、華道と並ぶ香道は、長い間日本の歴史の中で、リーダーたちの精神的な支えとなり、文化人たちに愛され今に至っています。香りは、本能や直感を司る大脳辺縁系を通ったあと、自律神経やホルモンのバランスを司る「視床下部」にたどり着き、自律神経やホルモンのバランスが崩れるのを防ぎます。自律神経が乱れると、ネガティブになってしまったり、イライラと怒りっぽくなってしまったりと心への影響が大きく出てしまいます。リーダーたちにとって香道というのは、心を落ち着けるために必要な文化だったのでしょう。

第四章『黒龍と白龍』

福井はおいしいお水とお米に恵まれ、世界的なブランドのお酒があります。黒龍、白龍、梵といったブランドですが、今回は永平寺町にある、黒龍酒造のESHIKOTOと白龍ブランドのお酒を製造販売している吉田酒造にお邪魔させていただきました。
白龍ブランドの銘酒を出す吉田酒造は、現在の代表、エクゼクティブメンバー、そして杜氏も女性でした。暖かく迎え入れていただき、吉田酒造の企業理念をお伺いすることができました。上質なお酒は清らかでおいしい水、お米が繰り出す魔法のような発酵によって支えられているのですが、その中でも山田錦というお米のブランドをこの地で育て、農地と農家の方々との共生を目指している未来を見越した吉田酒造の企業理念には深く感じ入るばかりです。このまろみや芳醇な香りがおりなす日本酒は、世界的にも新たな文化の投げかけを行う実力をもっています。雑菌一つ、温度一つが狂うと生まれない一級品を代々作り続けてきた自信とこの土地に責任を持つという信念あふれる人たちに創られたお酒はぜひ一度試していただきたいです。
そして世界ブランドである黒龍酒造、その中でも黒龍の幻のお酒、先日、「無二」がだされた夜、 広尾のお寿司屋さんには世界各地のグルメが集っていました。シンガポールの判事、香港の著名フードコラムニスト。黒龍の名声は世界的に確立したもので、ブランドによっては超希少価値、なかなか手に入らないものも多くあります。黒龍酒造が100年先の悠久の未来を見据えたサステナブルな里山を造っているということで、ESHIKOTOにお伺いしました。廃棄するものはださない、お酒造りの根幹を地道につきつめた銘酒がつくられる工場。そして臥竜棟というお酒を寝かせる貯蔵庫、日本酒を寝かせることにより発砲させたお酒をつくる、まるでボルドーのワイナリーに来たかのような空間にお邪魔しました。ここは来るたびに新たな発見があります。Acoyaというレストランは本当に予約が取れないレストランです。お料理もさることながら、ここで作られている洋菓子は幻のようにすぐに売り切れて購入できないのです。そして販売と試飲ができる棟から見渡す九頭竜川。すべての空間が調和され、ESHIKOTO(永遠そして善きこと)を形づくっています。そして今回の旅行で、ベーカリーとおそばやさん、そしてオーベルジュが新しくお目見えしていました。どこもすでにかなりの人気。一度は訪ねていただきたい世界的なブランド黒龍が私たちにといかけるESHIKOTO。


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本稿の基となります英文の原稿はWTUに掲載されています。
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