Spa & Wellness Insight

Mariza 氏
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アマンとウエルネスプログラム

アマン グループスパディレクター 清野 志 氏 interviewer: 相馬 順子

健康管理は多くの人たちにとってもっとも留意すべき点になっています。特にグローバルエリートといわれている人たちは、自分や自分の家族に対して、食や生活習慣にとっても気を付けています。グローバルエリートもお客さまに多い、アマンではどのような取り組みをしているのでしょうか?日本人として初のグローバル・スパダイレクターになった清野さんにお話を伺いたいと思います。

グローバル・スパダイレクターという仕事

相馬──ラグジュアリーホテルのグローバル・スパダイレクターというポジションは、日本人では初めてだと思いますが、まずはお祝いを申し上げます。
どのようなお仕事をしていらっしゃるのか、グローバル・スパダイレクターのお仕事を少しお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?

清野──お祝いのお言葉を頂戴し、厚く御礼申し上げます。私のグローバル・スパ・ディレクターとしての仕事ですが、主として、アマンが展開する33件のプロパティやオープン前のプロジェクトのスパの管理をしています。既にオペレーションされているリゾートに関しては総支配人やスパ・ウェルネスマネージャーと協働して統括しています。オープン前のプロジェクトに関しては世界的に著名な建築家や、アマンのテクニカルチームとともに新しい施設のコンセプトを考えます、併せてファイナンシャル面を含むビジネス戦略を作成します。アマンにとってウェルネスにおける新しいアプローチや、コンセプト、プログラム、ビジネスプランの作成、そしてそれらの実施まで、一貫して遂行管理をしています。そして、もちろんアマンのウェルネスにおける収益、品質管理の徹底も担っています。先日世界でローンチした、「アマンスキンケアコレクション」においてもマーケティングチームとともに販売戦略に携わっています。

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ウエルネスに対する関心の高まり

相馬──これからのホスピタリテイービジネスには、ウエルネスのプログラムが大事だとおっしゃっておりましたが、今後、ホテルに身体的な、そして精神的なウエルネスを求めるお客様はますます増えていくと思われますか?

清野──おっしゃるとおり、増えていくと予想されます。今後、平均寿命が延び、長い人生の最後まで良い健康状態を保つことが、人々の関心を集めていると思います。それにともない、ウェルネスツーリズムの需要もここ数年で顕著な成長を見せており、それが一時的なトレンドではなく、近い将来常識となることが見込めると思います。欧米諸国では、すでに多くの人が、心身ともにデトックスし、リセットするヘルシーでウェルネス志向の休暇を、一年に最低一度は過ごしています。そのような需要に応えられるパーソナライズが可能な充実した、専門家によるウェルネスプログラムを提供できるホスピタリティービジネスが少ないというのが現状ですが、需要は増えていくと思われます。

相馬──世界的にも、ウエルネスに対する関心が高まっていたり、先進国の政府間でも、健康保険の支出が問題になっていたりしますが、それよりも前から、先進的な人たちの間では、自分や家族のためにお金を使いたいと考えている人たちがここ10年でとても増えてきたと思います。

清野──世界的に保険に関するポリシーが変わってきており、例えば健康に留意し、ウエアラブルなどを利用して健康の情報がわかる人と不摂生な人との保険料が異なってくるなど、自身で健康の管理をすることhealthy/wellness managementが求められるようになってくるでしょう。

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相馬──ウエルネスに関心のある人たちが増えてきたとおっしゃっていましたが、彼らはアマンでどのような過ごし方をされるのですか?

清野──アマンの中でも、アマンプリ、アマノイ、アマンバグ、そしてアマネムは、「ウェルネスホリデーデスティネーション」という位置づけで、「パーソナル ウェルネスイマージョン」プログラムを展開しています。結果を重視した、充実したウェルネスプログラムを求めるアマンのお客さまが増えてきており、平均で5日間(結果を得る為に最低3日間のミニマムステイを設けています)、朝から晩までプログラムにコミットして過ごされます。
通常のホリデーで訪れるお客さまでも、ご滞在中にいくつかのウェルネスセッションをご体験される方がほとんどで、数日間のプログラムを希望されたり、またこの際に気に入られた方は、ウェルネスプログラムが目的で再度訪れる方も多くいらっしゃいます。

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相馬──日本でもWellness Tourism界が注目する、アマネムを開発されましたが、ここの特徴はどのようなものなのでしょうか?

清野──アマンのリゾートの中で、唯一温泉を有するリゾートとして、伊勢志摩国立公園内に2016年3月にオープンしました。日本で初めての本格的なパーソナルウェルネス集中プログラムの宿泊プラン、『アマネムパーソナルウェルネスイマージョンプログラム』が展開されています。神聖な伊勢神宮にも近い伊勢志摩の豊かな自然の中で日常生活から離れ、コンサルテーションを基にデトックス、ストレスマネージメント、スローエイジングなどを目的として、お一人おひとりの心身の状態に合わせ、食事の管理からメディテーションやフィジカルトレーニングまでを一貫して行うトータルなウェルネスプログラムです。日本ならではの湯治や食事療法、健康法をベースとし、温泉浴、坐禅、指圧や鍼灸などからさまざまなエクササイズやトリートメントを、またお食事はマクロビオティックの考えに基づいた美味しく美しいヘルシーキュイジーヌを、お一人おひとりにカスタマイズしてご用意いたします。統括を担当しているウェルネスマネージャーの小林千恵子は、ライフスタイルアドバイザーやアドバンスレベルのマクロビオティックのほか、鍼灸師、指圧師、あんま師、美容師、温泉利用指導者の資格を持ちウェルネスに精通しています。

フラッグシップのリニューアル

相馬──最後に、来年早々にプーケットのアマンプリにオープン予定の新しいホリスティックウェルネスセンターについて、お伺いしたいのですがこちらはウエルネスの粋が詰まっているとお伺いしましたが、どのような施設になるのでしょうか?

清野──アマンプリでは、医師、理学療法士、TCM(伝統的な中国医学)を起用し、integrate medicineと包括的なウェルネスサービスを提供いたします。アマンとして初めてのメディカルレベルのウエルネスサービスを提供する施設となります、多数の先駆的なスクリーニングと診断技術、その結果に適したトリートメントやプログラムを提供し、血液検査、DNA、アンチエイジングおよび予防医療サービス、美容医療サービス、スポーツ医療、医療レベルのウェルネスアナリシスなどを網羅します。ビタミン点滴、ホルモン注射、凍結療法、結腸治療、高強度レーザー療法としての理学療法、高周波療法、超音波療法、光線療法、パーソナライズサプリメント、HIFU、ボトックス、メソセラピーに加え、伝統的な鍼灸治療、灸や漢方薬、レーザー鍼治療など、多岐に渡る施術が可能となります。
また、アマンプリでは、異なる二つのイマージョンプログラムを提供しています。ひとつは、オリジナル・イマージョンでマインドフルネスとストレス管理、体重管理とトランスフォメーション、デトックス&クレンジングが中心となっています。そして、インテンシブ・イマージョンでは、体重管理とトランスフォメーション、デトックス&クレンジング、スポーツリカバリー&リハビリテーションとレジュビネーション&最適なウェルビーイングがテーマとなっています。インテンシブ・イマージョンではオリジナルに比べて、期間が長く、内容も違います。医療行為が含まれ、評価に先進的なウエルネスメディカルサービスの要素が含まれて いること、そしてメディカルレベルのスクリーニング、ウエルネスメディカルのサービスが含まれていることです。追加として、パーソナライズされたサプリメントを処方することもできます。
オリジナル・イマージョンとインテンシブ・イマージョンの両方で具体的な結果が得られますが、インテンシブ・イマージョンは定量的な進捗状況を念頭に置いて設計されており、現在および将来の健康状態をより詳細に調べ、予測することができます。インテンシブ・イマージョンは最低5日間、構築されたスケジュールに従います。オリジナル・イマージョンは3日間から参加可能で、より柔軟なスケジュールを提供します。両方とも広範なスクリーニングが含スパトリートメント、ムーブメントのクラス、スペシャリストセラピー、包括的な栄養プランが毎日含まれます。インテンシブバージョンでは、医療専門家によって処方された治療法が提供され、2日目の朝、総合的な血液検査を受けることができます。結果が2日後に判明した後、医師と話し合う機会が設けられます。到着時にも医者が立会いのもと、お客さまは3Dスキャンなどの医学的身体検査を受け、プログラムがパーソナライズされます。血液検査の結果が2日後に判明次第、よりパーソナライズされたプログラムが作成されます。
また、こちらのセンターのウェルネスセンターディレクターは、清瀬慎一という日本人です。以前アマン東京に在籍し、米国でTCMの資格を習得したバイリンガルですので、タイという異国の地であってもご抵抗なく、日本語でプログラムにご参加いただけます。私自身の、日本人のウェルネスを支えたいという願いが叶い、大変嬉しく思っております。

清野 志(きよの ゆき)
日本で保健学、アメリカのニューヨークでホテルビジネスマネージメントを学んだ後、2003年より、約15年間外資ラグジュアリーホテルのスパビジネスに関わる。いくつかの外資ラグジュアリーホテルのスパディレクターを経て、北京のフェアモントホテルの開業において、スパディレクターとしてスパの立ち上げを行う。その後マンダリンオリエンタル・シンガポールのスパディレクターを務め、2013年12月よりアマン東京のアマン・スパ責任者に着任、2014年4月にアマン東京のアマン・スパを開業。その後北アジア地区担当スパディレクターとして、伊勢志摩のアマネムのスパを2016年3月に開業、また中国4つめのリゾート、アマンヤンユンのスパを開業させ、管轄内のスパに、合計30以上の賞を獲得させる。2018年より、アマン グループのスパディレクターとして、グループ内のスパを統括。

相馬 順子(そうま よりこ)
株式会社 Conceptasia (www.conceptasia.jp)代表取締役。Global Wellness Summit ボードメンバー。Boston Consulting Group 香港オフィス勤務ののち、ウエルネス事業に対するアドバイス、投資を行う会社を設立。著名ブランドのスパを国内外に次々とオープニングさせてきた。

相馬 順子